WS-Trust による Dataverse への接続は、2022 年 4 月以降、非推奨(廃止)になります

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こんにちは。Power Platform サポートチームの金子です。
2022 年 4 月以降、すべての Dataverse 環境にて、クライアントプログラムから WS-Trust (Office365) プロトコルによる認証が廃止されます。結果、ログインに失敗する可能性がございますので、該当する場合、プログラム対応をお願いいたします。
この記事では WS-Trust プロトコル利用有無の確認方法や対処方法についてご案内します。

  1. はじめに
  2. スケジュール
  3. 影響範囲
  4. WS-Trust 利用有無確認方法
  5. 対処方法

はじめに


2020 年 2 月に、セキュリティ観点により、クライアントプログラムからの WS-Trust 認証プロトコルによる Dataverse への接続が非推奨になることがアナウンスされ、段階的に廃止されています。
現時点では一部の Dynamics 365 や Power Platform 環境では、引き続き WS-Trust プロトコルにて認証可能ですが、2022 年 4 月以降、すべての環境で非推奨(廃止)となります。その結果、クライアントプログラムから Dataverse 環境へのログインに失敗する可能性がございます。

Dataverse に接続するための Office365 認証の種類と OrganizationServiceProxy クラスの廃止

スケジュール


2020 年より、クライアントプログラムからの Dataverse への接続において、WS-Trust による認証は段階的に廃止されています。

  • 2020 年 10 月以降に新規に作成されたテナントでは利用不可。以前に作成された既存テナントでは継続利用可能。
  • 2021 年 4 月以降に新規に作成された環境は利用不可。以前に作成された既存環境では継続利用可能。
  • 2022 年 4 月以降は、利用可能であった既存環境も含め、すべての環境で利用できなくなります。

影響範囲


WS-Trust 廃止による影響範囲は以下の通りです。

  • Microsoft Dataverse へ接続するクライアントアプリケーションにのみ影響があります。
  • プラグイン、ワークフロー、オンプレミス/IFD 接続には影響を与えません。

一例として、CrmServiceClient で接続文字列 AuthType=Office365 を指定するサンプルプログラムの動作を Fiddler でキャプチャした様子を以下に示します。
※ Fiddler はクライアント・サーバー間の HTTP/HTTPS 通信ログを取得して調査するためのツールです。具体的なログ採取方法は Fiddler ログの採取手順 に紹介されています。

2021 年 4 月以前に作成された環境へ WS-Trust プロトコルで認証する場合:
現時点で WS-Trust プロトコルが利用可能であるため、HTTP 200 が返却されています。

2021 年 4 月以降に作成された環境へ WS-Trust プロトコルで認証する場合:
既に WS-Trust プロトコルが利用不可であるため、ログインに失敗します。HTTP 500 エラーが発生し、下記メッセージが返却されます。
An error occurred when processing the security tokens in the message:You are using Ws-Trust authentication which has been deprecated and no longer supported in your environment. Please use OAuth2.0 authentication.

Response Body 情報

WS-Trust 利用有無確認方法


テナントにおいて、WS-Trust を用いた Dataverse への接続が発生している場合、Microsoft 365 メッセージ センター にて下記タイトルのメッセージが配信されている可能性があります。
Microsoft Dynamics 365: WS-Trust authentication protocol for connecting to Dataverse is being deprecated

なお、メッセージが配信されていない場合であっても、下記処理を実装している場合、WS-Trust を利用しています。

  • CrmServiceClientクラスを接続文字列で使用しており、AuthType=Office365 を指定している
  • OrganizationServiceProxy クラスを使用している
  • CrmServiceClient.OrganizationServiceProxy を使用している

下記公開情報も併せてご参照のうえ、プログラムのご確認をお願いいたします。
コードやアプリケーションが WS-Trust を使用しているかどうかを確認するにはどうすればよいですか?

対処方法


下記公開情報を参考に、接続インターフェイスの変更や、認証タイプ OAuth へ移行をご検討ください。
この影響を受けた場合、アプリケーションのコードを修正するにはどうすればよいですか。

2021 年 4 月以降に作成された環境では WS-Trust が利用できないため、改修後の認証接続テストにご利用ください。必要に応じて、既存の運用環境を WS-Trust プロトコル利用不可環境へコピーしてテストをお願いいたします。


おわりに

より詳細な情報が必要な場合、弊社テクニカルサポート、Customer Success Account Manager (CSAM), Customer Engineer (CE) までお問い合わせください。

※本情報の内容(添付文書、リンク先などを含む)は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。